★ 光線銃SP

はすぴーの家庭には、抽選会で当たった「ドリームキャスト」という

TVゲームがある。

そして「House of Dead2」というシューティングゲームにはまっている。

次々と襲い掛かってくるゾンビをガンで倒し、ボスをやっつける。

ゾンビは頭に命中させないと緑色の血を流しながら、襲ってくる。

あまり教育上、いいとは思えないが、実によくできているゲームだ。

 

こんなゲームをやりながら、懐かしく思い出したのが「光線銃SP」。

任天堂のおもちゃで、はすぴーが小学6年の時のクリスマスに買って

もらったのだから、昭和45年頃の発売だと思う。

当時にしては、高価なおもちゃだったと思う。

 

光線銃SPは一世を風靡した大ヒットのおもちゃだったと思う。

そもそもネーミングがカッチョいいではないか。

レーザーガンとか光線銃とか、その名前だけで当時の男の子を魅了した。

「SP」にはどんな意味があるのか知らないが、これまたカッチョ良さを

増長させる響きであった。

 

さらに任天堂の商売のうまいところで、テレビCMが これまたカッチョ

良かった。まるでアニメのレーザービームのような光が的に当たる。

ビーム光線は鏡の反射を利用して、屈折して的に当たる。

そして後で述べるが、的のライオンは大袈裟なまでに反応して「がぉー」

「がぉー」と吠える。

このCMを見た男の子たちは「これは何としても買ってもらおう、しかし

値段が高いので普通におねだりしても難しいな、、、」などと考えた子ども

が全国の84.71%いたという統計は残っていない。

はすぴーは厳格な父に「来年、一年間は絶対いい子になります。宿題も

きちんとやります」という約束でクリスマスプレゼントとして買ってもらった。

(ここでの一年間の約束は半月以内で破いてしまったことはいうまでもない)

 

 

ここで、光線銃SPの仕組みついて説明しよう。

銃の方はシンプルで、懐中電灯に引き金を引くとシャッターが開いて光線を

生み出すだけのものである。

だから銃は普通の懐中電灯でもいいことが後でわかる。

銃にはピストルタイプとライフルタイプがあったように記憶している。

このおもちゃのハイテクらしさは、むしろ「的」の方にあり、受光センサー

組み込まれていて、光を感じると反応する仕掛けだ。

有効距離は5メートルくらいだったのではないだろうか?

 

的にも何種類かあって、趣向を懲らしたターゲットであった。

たとえば、「ビールビンバージョン」

これは光線が的に当たると、バネ仕掛けのビールビンの上部が「ビヨーン」と

飛び出し、「こなごなに」壊した感覚になる。もちろん、ビールビンはソフトな

プラスチィクで出来ており、危険はない。

 

音の出るタイプとして「ライオンバージョン」もあった。

ライオンの額にセンサーがあり、ここに命中すると「ガォー、ガォー」と

吠えるのだが、実際には「グゥー、グゥー」という音で、吠えるというよりも

「寝むらせた」といった方が正しいかもしれない。

 

さらには「ルーレットバージョン」というのもあった。

これは的にあたると、電子ルーレットが回転するものであるが、だから

何なのさ、これでチンチロリンでもやるのかと聞かれても はすぴーは困って

しまう。

 

その他、記憶にあるのは「ガンマン人形バージョン」

これは的にあると、人形がヘナヘナと倒れる。ビールビンは壊すたびに

いちいちセットしなくてはならなかったのに対し、こちらの方は中にワイヤーが

入っていて、自動的にガンマンが立ち直るところがミソだった。


 

このような的はそれぞれ、別売りしていて、飽きる頃に徐々にハイテク化された

ものが登場し、そのたびに はすぴーは「いい子になり」おねだりした。

当時、銀玉鉄砲でしか遊んだことのない少年にとって、光線銃は玉もでないのに

相手(的)がぶっ飛び、吠え、回転し、倒れることは不思議な現象だった。

値段は高かったが、クラスでも持っているやつは5〜6名いたから、かなりヒット

したおもちゃであった。

 

しかし、この画期的なおもちゃが飽きられるのに そう時間はかからなかった。

また後で聞いたのだが、飛ぶように売れた「光線銃SP」だが、技術的な面で

未熟な部分が多く不良品が続出、消費者からの返品もかなりあったらしい。

(スチッチを切り忘れたライオンが深夜にいきなり吠える事件もあった)

そのため、売れた割には利益があまりなかったらしい。

 

が、、、当時の任天堂の社長は この商品と売れ行きを見て「エレクトロニクス

を活用した商品にはこれまでにない遊びを提供できる可能性がある。これこそ

任天堂が手掛けるべき商品だ」という強い確信を得て、ファミコンの成功に

至ることになったらしい。

すなわち、トランプの任天堂がハイテクの任天堂に様変わりするきっかけになった

おもちゃだったのではないだろうか。

(99.7.25)

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「あの頃」のセピア色の想い出


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