絶滅寸前こだわり商品No.3

赤チン

   

はすぴーがガキの頃には、塾やテレビゲームなどはなかったので、雨でない日は

たいてい外で遊んだ。原っぱではしゃぎまわり、空き地には「バラ線」なんかが

張ってあった時代だ。ところで子どもってよく転ぶけど、どうしてなんでしょうかね?

安定性が悪いのかバランス感覚がまだ養われていないのか・・・

またバラ線を乗り越えたり、くぐったりすると決まって腕をひっかけてしまうもんだった。

 

そしてこういった怪我をして帰宅すると、かーちゃんが唾をつけて「赤チン」を塗ってくれ

るのであった。「赤チン」は「赤いチンチン」ではなく(笑)、「赤色のヨードチンキ」

という意味で「赤チンキ」とも言う。

小学校の保健室でも「赤チン」が置いてあり、保健の先生から乱暴に塗られた経験がある。

授業中によく「カサブタ」をむしったもんだ。治りかけるとむしり、血を出して喜んでしまう。。。

(君の瞳に乾杯! 映画「カサブタンカ」より)

赤チンで思い出すのは、よく腕時計を姉に赤チンで書いてもらったことだ。

なぜか「おやつの3時」にセットされていた。

 

そういえば、最近「赤チン」というものを見かけなくなった。

擦り傷には、スプレータイプの「マキロン」だし、「バンドエイド」は家庭の必需品と

言える。はたして「赤チン」は絶滅してしまったのだろうか。

まずはその存在を確かめるべく、インターネットで調査をはじめたところ、明確なことは

わからなかったが、要約するとだいたいこんなことである。

 

赤チンは正式にはマーキュロクロム液といって、1〜2%のマーキュロクロムを精製水で

溶かしたものだそうだ。1919年、W・ヤング(Wケンジではないぞ)というエライ人に

よってつくられて日本においても普及したとあった。

そしてこのマーキュロクロムは なんと「有機水銀化合物」なんですね!

日本では水俣病などの水銀による公害が問題になっていて、水銀化合物は、公害関連物質に

指定され、赤チンもその製造過程で水銀を出すために規制をうけることになったそうだ。

この頃から生産数が減り、昭和48年には国内での製造が停止されることになったという

調査結果を得ることができた。

 

うーむ、赤チンは見かけないと思ったら、既に製造中止になっていて、絶滅していたか。

今、振り返ればたしかに、赤チンを塗った後って、「銀蝿」のような輝きがあったけど、

あれは水銀だったのかなぁ〜。

はすぴーの母から聞いたことがあるけど、乳離れをしない子のために 乳頭に赤チンを

塗って「うぇ〜、もんこんなオッパイ嫌いだぁ」と思わせるようにして乳離れをさせたという

友人がいたらしいが、その子は元気に大人になったのだろうか。

そうそう、今のような簡単に茶髪にできなかった時代だったので、髪にコーラーを塗って脱色

したり、赤チンを塗って髪を緑色にしたと不良の姉から聞いたことがあるけど、これも水銀の

威力だったんだろうか。

マニアックな話ではまだ宝くじが景品制だったとき、赤チンが景品だった時代もあったらしい。 

 

 

やや、話が脱線してしまったが、要するに赤チンはその製造過程において水銀を出すために

今から30年前の昭和48年に製造停止となってしまったらしいのだ。

いやまてよ、うちの娘がまだ保育園にいっていた5年前には、膝に赤チンを塗られて帰って

きたことがあるじゃないか。。。。

・・・ということは、まだ絶滅したと結論を出すのは早いぞ。

では、この際 薬局に実際に行ってこの目で確かめてみるとすっか。

 

2000.8.20暑い日 地元の薬屋さんにて

はすぴー:「すみませーん、あのぉ〜 昔、赤チンってありましたよね。あれって

      あるんでしょうか?(結構 恥ずかしい)

店長:「(あっさりと)はい、置いてありますよ。これですね。」

はすぴー:「えっ〜あるんですか。(意外なので驚く)でも、これって赤チンと書いてない

      じゃありませんか」

店長:「(いぶかしげに)赤チンというのは、世間一般的に言われている名前で

    正式にはここに書いてあるように「マーキョロクロム液」というんです」

    最近はあまりでませんけどね。赤いのが格好悪いとかで、、、」

はすぴー:「私の母親がどうしても、これがいいというんですよ。(とっさのウソにしてはGood)

店長:「若い人はマキロンしか知りませんからね、ご年配の方は赤チンがいいと言う方、

    多いんですよ。慣れとでもいうのかな」

はすぴー:「でも水銀が入っていて製造禁止になったって聞いたことがあるけど?」

店長:「あれ〜お客さん、詳しいねぇ、日本じゃ作ってないけど

     中国か韓国か台湾あたりで作って、日本で売っているんだよ」

はすぴー:「ふーん、で、いくらっすか?」    

店長:「えーと、350円ですね、まいど〜」

 

こうして、実にあっさりと「赤チン」をゲットしてしまい、やや拍子抜けという気も

しないでもないが、もしかしたら これははすぴーの住む足立区は年寄りが多く

赤チンニーズに支えられているという特殊事情があるかも知れない。

 

いずれにしても、赤チンは健在であり、その後の調査では販売している企業も複数あり

それなりの需要もある様子だが、はすぴーの予想では確実に「絶滅」に向かっている

商品であり、赤チンで腕時計を描くのは今しかできないだろう。。。。

 

 

【ゲットした赤チン情報】

外皮用殺菌消毒剤「マーキュロクロム液」50ml

小堺製薬株式会社

 東京都墨田区両国4-34-5

 

・効能

  造傷面の殺菌・消毒

・用途、用量

 1日数回、患部に直接塗布する

 

・使用上の注意(抜粋)

 外用にのみ使用し、内服しないこと

 目に入らないように注意すること

 口唇等の粘膜の部分には使用しないこと

 ヨードチンキとは同時に使用しないこと

 広範囲には使用しないこと

 

 

(原稿:2000.8.21)


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