最近の蚊帳のニュース
2001/8/7 朝日新聞 朝刊より
蚊帳、アフリカへ 住商がセネガルから受注
下水道や冷房の普及などで、日本では使われなくなった蚊帳が、西アフリカのセネガルで
活躍することになった。住友商事がマラリア対策として蚊帳20万張をセネガル政府に納入
することが決まった。20万張はセネガルの全人口の1割に行き渡る計算だ。現地に蚊帳を
つる習慣はないとされるが、住商は「この機会に蚊帳が広まり、マラリア予防に役立てば」
と期待する。
日本政府の感染症対策援助の一環で、蚊帳に加え、蚊帳にしみこませる殺虫剤や検診用機器
など受注額は計3億3600万円。住商は欧米のNGO(非政府組織)と共同で年内にセネガ
ル各地に蚊帳を運び、使い方なども教える。ただ、納入する蚊帳はタイ製。
マラリアはポリオ、エイズとならぶ3大感染症の一つ。世界中で年3億〜5億人が感染し、
100万人以上が死亡していると推定される。ウガンダやモーリタニア、ギニア向けにも同様
の援助計画があり、住商は「セネガルで実績をつくり、ほかの国でも受注したい」と意気込ん
でいる。(07:46)
2001/8/10
朝日新聞《天声人語》より
もう姿を消したと思っていたものが、急に復活することがある。今夏、蚊帳がそうである。
販売元も不思議がるほど売れているらしい。
かつては夏には欠かせないものだったが、百科事典にも「60年代を境にしだいに使われな
くなっている」とある。密閉式の住宅と冷房の普及のせいだろう。
静岡県磐田市の寝具店「菊屋」は6年前からインターネットで蚊帳の通信販売を始めた。
当初は年間25張ほどしか売れなかったが、去年は300張に増え、今年は既に去年の2倍
ほど出たという。値段は6畳用で2万円台からあるという。
菊屋の三島治社長によると、殺虫剤を使いたくないといった理由のほかに「ぐっすり眠れる」
「気持ちが落ち着く」と言って買う人も少なくないそうで「お客さんからそう教えられてなるほ
どと思った。いやしの空間になっているのですね」
都内の百貨店などでもよく売れているといい「インテリアとして買っていくお客さんが多いよ
うです」。在庫がなくなったから宣伝しないでほしい、というところまであった。和風ブームと
もアジアンブームの流れともいう。
蚊帳には別の使命もある。90年代後半、世界保健機関がマラリア対策に殺虫剤をしみこませ
た蚊帳が有効と提唱して以来、日本でもNGO(非政府組織)のフォスタープランなどが「蚊帳
がアフリカを救う」とその普及活動をしている。先日は日本政府の感染症対策援助の一環として、
セネガルに20万張の蚊帳が納入されることが報じられた。
「消えゆく夏の風物詩」と言ってはいられなくなった。
戻る