絶滅寸前こだわり商品No.13
赤い線入り体温計(名称不明)
どうも毎年の年末が近づくと、はすぴーは風邪をひく傾向にある。これは恐妻の
必殺「大掃除、奴隷のように手伝え攻撃」から逃れたいために身体が勝手に自己
防衛反応しているのかも知れない。
今も、ちょっと熱ぽいので、体温を測ろうと思って体温計を探す。
(年に1〜2度しか使わないので、どこにあるのかわからない)
ありました、ありました「けんおんくん」(←体温計の商品名)
そういえば、いつから体温計はデジタル式の電子体温計になってしまったのだろうか。
少し前までは、水銀体温計が一般的であったように思うし、さらに昔は
名前は知らないが、”赤い線の入った棒状の体温計”があった。
水銀のやつもそうであったが、”赤い線の入った棒状の体温計”は、まず使用する
前に、目盛りが下まで下がっているかを確認する。
、、、というのは、前に使った人がそのままにしておいた場合、目盛りは
前回の測定した体温を示したままになっているのだ。これは数値を記憶している
からではなく単に戻っていないのだ。(目盛りといってもメモリー機能はない←おーい、山田くん座布団1枚)
したがって、使用者は測り終わったら、体温計を上下に振って、目盛りを
戻すのが、次の人に対する礼儀というわけなのだ。
デジタル式の電子体温計になっても、思わずその習慣で電子体温計を振ってしまった
という人ははすぴー世代には必ずいるはずだ。(礼儀作法が身についておます)
アナログ式の体温計は、「37℃」の数字が赤くなっていて、これを越えると
「あっ、熱ぽいと思ったら、やっぱこんなにある。学校、やすもっと」と体のだるさを
肯定してくれる感じであった。これに対してデジタル式のやつは「37.8℃(この程度
の熱では会社を休んではならぬ)」とでもいいたげな感じがして、機械的に表示される
デジタル文字がなんとも冷たい。または熱ぽくて会社を休もうと思い、測ると平熱だったり
すると「おいおい、この体温計は壊れているとちゃう?電池、切れてないか?」と
疑惑にかられてしまう。
子どもの頃、誰でも同じような経験を持っていると思うが、風邪をひいた時は周囲の人、
特に母親はとても優しかった。熱が高ければ高いほど優しくなるという「高温母優比例法則」
なるものを小学1年生にして、はすぴーは発見したのであった。
当時はまだアイスノンがなかったので、水枕を用意してくれて、枕元にはいつでも水が
飲めるようにと「急須(きゅうす)」を置いてくれた。そして父は会社の帰りに当時、
高級品のバナナを買ってきてくれたし、普段いじわるな姉でさえ、「見たいテレビ番組が
あれば、今日はそれでもいいわ」と言ってくれた。まるで一夜にして星の王子さまに
生まれ変わったかの如くの扱いだ。
熱にうなされて、怖い夢を見るのは嫌だったが、翌日は小学校を休み、ゴロゴロとして
いるのも、子ども心に「病気もまんざら悪くねぇ〜な」と思った。
朝からテレビを見て、やや後ろめたい気持ちもあってか、10時くらいになると、
3チャンネル(NHK教育)で「理科教室」や「はたらくおじさん」を見て、「オイラは
病気にもかかわらず少しは勉強していますぅ」と自分にいいわけをした。
(別に仮病というわけでもないのたが・・・)
そして熱が下がるにつれ、「高温母優比例の法則」に従い、母はもとの母に戻り、
「いつまでもゴロゴロしていないで、もう学校に行きなさいっ!」と怒り始めるのだ。
さて、前置きが長くなり、これじゃ「セピア色の想い出」と区分がなくなってしまうので
本題に戻そう。今回はとんと見かけなくなった”赤い線の入った棒状の体温計”を調査する。
”赤い線の入った棒状の体温計”は大正10年(1921)の9月に、現在のテルモから
発売された。当時の社名は「株式会社 赤線検温器」(←冗談のようなそのものズバリの社名だ)
まっ、それだけこの体温計に対して自信があったものと推測される。調査結果でも
ガラス管の製造技術においては画期的な製品であったと記載されていた。
但し、赤線体温計は使っているうちに、棒線が切れてしまい、目盛りが何度を示している
のか分からなくなったことも頻繁にあった。
そんなこともあってか、やがて水銀体温計が主流となったそうだ。
はすぴーの記憶違いかも知れないが、赤線のやつは水銀よりも棒状の部分が丸かった
ように思うし、三角柱のような感じがする。(水銀計の方が平べったい感じ)
目盛りも水銀計に比べて、線が細くて見ずらく角度を何度も調整したように記憶している。
事実、水銀計の方が精度が高く正確で、故障も少なかったと記載されている。
これらの理由から水銀体温計に軍配が上がり、各家庭や学校の保健室に常備
されるようになっていくのであった。
ところで、水銀体温計を乱暴に扱って、割れてしまい、中から水銀が出てきた
ことがある。危険なものとは知らず手のひらでコロコロと転がして遊んだことも
体温計の懐かしい想い出だ。
では、この”赤い線の入った棒状の体温計”(←名前が不明なので大袈裟だ)は
今でも売られているのだろうか? 結論は・・・・・「わからない」のだ。(^^ゞ
とりあえず家の近所の薬局を3軒、まわってみたのだが、販売してはいなかった。
店の人にも尋ねてみたのだが、「たぶん もうない」と不明確な回答。
また例によってインターネットを駆使して調べてみたのだが、販売はしていない
ようだが、絶滅したという確証もとれなかった。つまり「わからない」
最後の手段として、(株)テルモ宛にメールを出したのたが、怪しいやつと思われ
たのか今のところ返信がない。(汗)
したがって、今回の調査では、”赤い線の入った棒状の体温計”は昭和40年代から
水銀体温計にとって代わり、姿を消していった。そして電子体温計が普及している
現在、たぶん絶滅してしまったようであるが、その確証は定かではないというのが
結論である。もし、「いいや、うちの近所の薬局では売っているよ」という場合
ぜひともメールか掲示板でお知らせいただければ、大変に貴重な情報です。<(_
_)>
【オマケ】
今回の調査でわかったこととして、ヨーロッパの北の方では、体温計を
直腸内(つまりお尻の穴)に入れて検温する習慣があるらしい。
脇の下で測るよりも正確に測れることは事実のようだが、日本人のはすぴー
には、かなり抵抗がある。そんな理由から、その国では歯ブラシ同様、
家族一人ひとりが自分専用の体温計(マイタイオンケイ)を持っているそうだ。
やはり家族といえども、父親の使った後、娘がお尻に刺すというのは
ちょっと困ってしまう、、、ということか。
でも、ここの国ではお尻の他に、口(舌下)で検温する習慣と混在して
いなくて良かったと思いました。当り前か・・・(笑)
テルモのHPによれば、ヒトの体は、表面や内部、またその場所によっても
温度が違うそうだ。手足や顔など、体の末端や表面の温度は、季節や環境の
影響を受けるからだ。一方、体の内部の温度は、脳や心臓などの大切な臓器
の働きを保つために、高く安定しており、この体の内部の安定した体温を
測るのが最も正しいので、直腸内(お尻の穴)からが良いらしい。
最近では、耳式体温計とといって、耳の穴に1秒間入れるだけで体温を
測定するものが人気のようだ。(我が家にはないけど)
温度があることろからは、必ず温度に対応する赤外線が出ているそうで、
耳式体温計は、内蔵の高性能センサーで赤外線量を瞬時に検出することで、
温度を測る優れものということだ。
かつて赤い線入り体温計は3分だったと思うが、1秒というのはすごい!
株式会社テルモの社名は遍歴は以下の通り。
赤線検温器(大10)→仁丹体温計(昭11)→仁丹テルモ(昭38)→テルモ(昭49)
そういえば、はすぴーがガキの頃、家にあった体温計は”仁丹体温計”と書いて
あったような気がしてきたぞ。
(テルモの語源は体温計の英語thermometerをローマ字読みしたものだろう)
(原稿:2001.12.22)
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