★ シーモンキー

ペットを飼育している人が年々、増加しているらしい。

また少し前に「たまごっち」が大流行して、日本はもちろんアメリカなどにも

進出していった。ペットを飼うことは情操教育にも良いと聞いたことがある。

 

はすぴーが自分の手で最初に飼うことになった動物は「シーモンキー」

私たちの世代の方なら、知っている人も大勢いると思うが、What is this? と

思う人のためにご紹介を兼ねて、その飼育生活について思い出を語りたい。

 

先に「まつみ商会」の思い出を書いたが、おこちゃま向けの通信販売で売られて

いた。広告には目のクリクリした愛らしいおサルさんの顔に下半身はトカゲのよう

なイラストで、いかにも「ぼくを育ててくんなきゃ〜いや!」っていう絵で

あった。はすぴーたち男の子は「そうかそうか、君を大切にするよ♪」という

衝動にかられて、当時600円を送金して「シーモンキー」君

が届くのを待った。この待ちの期間(約1週間)はすぴーは「シーモンキー」君

を手のひらに乗せたり、クリクリまなこと見詰め合って愛を確認し会うことを

楽しみにしていたことは言うまでもない。

 

そして約1週間後、送られてきたのは円錐形のプラスチックケース。中には

薬の袋みたいなものが3つとスポイトと説明書が入っていた。

1つ目の袋には「海の素」と書いてあり、2つ目の袋には「シーモンキーのえさ」

と書かれてあり、3つ目の袋には「シーモンキーの卵」と記載されていた。

卵は「卵」というよりも「砂」といった方が正しい。ちょうどあんぱんの上に

あるやつ=「けしの実」と似ている?

脳裏をかすめた猜疑心…。だいたいペットが通販で売られていること自体に

疑問を抱かない純粋な心を持っていた頃だ。

 

説明書をよーーく、読んでいくうちに「シーモンキー」の正体がわかって

きた。「不思議な水棲生物、シーモンキーは、、、、シュリンプの一種で、、、」

当時の子供に「シュリンプ」なんて言ったところで、誰が理解しただろうか!

早い話が、エビの世界に身を置くものらしい。エビならエビで伊勢エビになって

食卓を賑わせてくれれば、600円の投資はペイされるのだが、説明書によると

「成長したシーモンキーは体長が1cm程度になり、、、」なぬぅ?

1cm? ザリガニにだってこんなのは存在しない。これじゃ、手の平で転がして

遊ぶことができないじゃないか!クリクリまなこがどこにあるかわからんじゃないか!



これがシーモンキーだ・・・ミジンコじゃねぇーよ
 

「だまされぁ〜!」…まつみ商会にはこれで何度目だろう、、、、と思いつつ

また別の商品を購入してしまうのが、おこちゃまの赤坂見附、じゃない

「あさはかさ」だ。買った以上、しかたがないので、砂の卵を1cmの成虫(もう

虫の扱いだ)になるまで、育てようと決心するまで、約半日ついやした。

 

まず送られてきたプラスチックケースを容器にみたて、その中に水をいれ、

「海の素」と「卵」を半分づつ入れる。2〜3日すると、たしかに孵化した

ミジンコというかボウフラみたいのが、30匹くらい動いている。これが

はすぴーとシーモンキー君との初めてのご対面。その後、3日に一度くらいの

割合で餌をやる。この餌は使いきった場合には、きな粉や小麦粉でも代用が

効くと説明書には書いてあった。

 

ボウフラはその後、5mmから8mmくらいに成長していき、ますますエビ

らしくなってきた。懐中電灯で光をあてると寄ってくる性格もあったので、

手をたたくと寄ってくる池の鯉らしさもある。そんなこんなでボウフラは

たしかに1cmくらいに成長していった。中にはおちこぼてて死んでいった

ものもいたが、これだけうじょうじょいると数匹死んだくらいでは、ちっと

も寂しいとは思わない。むしろスポイトで死体処理をしなくてはならないので

「この野郎、死にやがって。人生の落伍者、お前の同期を見てみろ。

立派に青春を謳歌しているじゃないか!」と叱りつけたくなる。

 

海水が濁ってきたら、取り替えてあげないといけない。はすぴーはプロ

フィールにも書いた通り、掃除や家事が嫌いなので、自分の部屋すら掃除

をしないにの、なんでボウフラの海水まで取り替えないとならんのだ!と

思いつつ、やがて水替えにもあきてしまうようになる。こういう不精者に

飼われたペットは哀れなもので、次から次へと死滅してしまい、最後に

サバイバルした数匹が残った。

当時、はすぴーの家では熱帯魚を父親が飼っていたので、サバイバル戦士

数名は熱帯魚に食われて人生を全うした。(合掌)

 

The End。



 

ところで、大人になった今になって思うことを付記したい。

まず「シーモンキー」というネーミングによる商売のうまさ。

もともとあんなものはどこにいるのか知らないが、ほとんど原価はかからな

かったと思う。それをあのクリクリまなこのイラストと「シーモンキー」

という名前で純粋な少年たちを相手に600円で売ったのだから、

相当、儲かったのではなかろうか?原価計算をしたら粗利益率で80%は

クリアしているのではなかろうか。これが何万円もする商品であったら

間違えなく「誇大広告」として訴えられたと思う。

別の視点から見れば、たとえ商品性の乏しいものであっても、ネーミング

がよければ売れる可能性があるということだ。

以上、シーモンキーに学ぶマーケティング講座でした。

 

その後のシーモンキー、、、、

街のうわさでは、現在でもツクダオリジナルからシーモンキーを販売して

いるといううわさを聞いた。「王様のアイデア」にも売っているらしい。

最近のバージョンは死んだシーモンキーを「蘇生」させる薬もいっしょに

パッケージングされているらしい。

そして、なんとあのクリクリまなこのイラストの入ったTシャツを来ている

人を渋谷で見かけたという情報も届いている。

さらに灯台元暗し、、、、本物はすピー(長女:小学5)は毎月、学研の「科学」

を取っているのだが、何年か前の付録についていて、その存在を知っている

という。たぶん「きみも謎の水棲生物をジャンボに育てよう」なんていう

見出しがあったのではなかろうか。

こうして、はすぴーは本物はすピーに上記の思い出を語り、シーモンキー

は親子のコミュニケーションを橋渡ししてくれたのであります。



      
当時のシーモンキーのポスター   本場アメリカの公式サイト


    
      シーモンキー・ジャパン


 

(原稿1998.12.5)


「あの頃」のセピア色の想い出


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